肉汁爆弾

いろいろメモっていきます

自宅で石焼き芋研究の3(アルミホイルの活用)

前回までのまとめ
・焼き芋を甘くする基本はデンプンの糊化からのβアミラーゼの反応。(70度程度)
・生から70度で低温調理をして石焼をすると、適切に糊化されなかった。
・生から石焼をすると糊化したようにみえたので、その後に低温調理を試した。
・結果、蜜があふれて、シロップ漬けのようになった。
ということで、石焼からの低温調理で思ったとおりに蜜で溢れさせることができました。ただ、実際に蜜が溢れかえった芋が一番美味しい仕上がりかというとそれは微妙で、個人的には少し水分が多すぎるように感じました。
これまでの石焼は何にも包まず、水分は揮発させっぱなしという作り方でしたが、これをアルミホイルで包んで焼くことで、もっと美味しいと感じる水分量に仕上げられるのではないかという仮説のもと、今回は水分量のコントロールに挑戦してみます。

sugaret.hatenablog.com
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前回の芋。サラサラの砂糖水が溢れているかのようです。

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ついでに今回から、芋の内部温度をきちんと把握するために温度計を、甘さを定量的に評価するために糖度計を用意しました。(が、糖度計は不良品だった模様で、測れておりません)

検証

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今回の比較は以下の3種で行いました。
1. 最後までホイルを巻かない
2.30分ほどしてからホイルを巻く
3.最初からホイルを巻いて焼く



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30分ほど経過したところです。60分で焼き上げる目標なので、ちょうど半分ぐらいですね。ここから2.にホイルを巻いています。この時点でホイルを巻いていないものにはある程度柔らかくなっていますが、ホイルを巻いているものはまだ固めです。


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あわせて一時間ほど経過した図です。しっかり蜜が漏れてますね。


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1.ホイルを巻いていないものです。いつもどおり中身がねっとりしていて、皮はパリパリ目になっています。


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2.ホイルを30分後から巻いたものです。皮がしっとりして蜜が染み出しています。トロトロ加減も1.よりも強いように感じます。


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3. 最初からずっとホイルを巻いていたものです。こちらも蜜が皮から染み出していますね。皮と身の境い目を見ると、皮の分離が進んでいないことがわかります。しっとり具合は1.よりはあるものの、トロトロ下限は2.よりも劣っているように感じますが、十分に柔らかくて美味しいです。


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左から、1.2.3.の順に並んでいます。ホイルで包まずに焼いたものは身が皮から剥がれているのがわかりますね。

温度の推移

芋の温度は30分後/60分後で温度をそれぞれ計測しました。
30分後は3.の芋のみ78度、1.2.はともに100度を指していました。
60分後はすべての芋が100度を指していました。

また、庫内の温度は3分:100度 -> 10分:120度 -> 20分:140度 -> 30分150度 といった推移でした。

考察

今回の実験の結果、一番やわらかくて甘かったのは2.の芋でした。1.と比較して途中からホイルを巻いたことによって、溢れた蜜が揮発しなかったのがその要因だったのかなと思います。一方で3.については2.よりは若干固さを感じました。前回の「生のまま低温調理をした」という状態ほどのボソボソさにはならなかったものの、いわゆる上手く糊化してトロトロにはなりきれていなかったようです。
ということで、身から皮が剥がれて糊化が進むところまでは石焼ですすめるのが無難そうに感じます。ふかし芋に近いようなテイストにしたい場合は最初からホイルを巻いておくのがよい、という結論でよいのではないでしょうか。

残る疑問は今回、前回の実験の中で「糊化温度を長く維持しているサンプルがなぜか固く仕上がった」というものです。これに関してはいろいろ調べているうちに、有力な説を発見することができました。詳細は次回の実験でまとめるので、お楽しみにお待ち下さい!