最近話題なイマーシブシアターに初めて行ってまいりました。忘れないうちにレポをば。ネタバレなどは避けて語りますのでご安心ください。
イマーシブシアターの周辺情報
そもそもどこで話題になってるの?って聞かれそうな気がしたので、知ってる限りの情報をまとめておきますね。
イマーシブシアターとは
演劇といえば通常、用意されたシートに着席して見るものなので、隣のお客さんと見ているものは当然同じものになりますよね。それがイマーシブシアターでは他のお客さんと見たものが異なる可能性があります。というのもリアルな場所を貸し切って、その中を演者が縦横無尽に移動ながら演技を行うというものだからです。
例えば廃ホテルを貸し切って、ホテルマンや観客に扮した演者がそこで起こっている事柄をそれぞれ演じます。レストランで食事をする客もいれば、バーでお酒を作っているバーテンもいるわけですが、場所が全く異なるので「観客自身が見たいシーンを追いかけていく」必要があります。かと思えばどこかで殺人事件が起り、エントランスに全員集合してみたり。といった具合に、物語がいたるところで展開して事件が起こって、結末を迎えます。
・設定として観客が透明人間(感知されない)かどうか ・観客の取った行動によってエンディングが変わるかどうか ・配置されているものに触ってよいかどうか ・喋ってよいかどうか
などなど、種類はいくらかあるようですがとにかく「実際に足を動かして物語に没入(イマーシブ)する演劇」をイマーシブシアターと呼ぶみたいです。
どんなのがあるの
Sleep No More
www.at-newyork.com
おそらくここが元祖みたいです。ニューヨークのブロードウェイで2011年からやっていて、シェイクスピアのマクベスに基づいたお話が展開されるとのことです。詳しくないのでよくわからん。
ブロードウェイだと演目ごとにシアターが固定されているから、こういう方式が産まれたのかもしれないですね。ちなみに2017年ぐらいに一回だけブロードウェイに行ったことあるんですけど、この情報は一切目に止まらなかったです。うーん。
どうやらこれが2017に上海にきたことが日本でぼちぼち話題になっている理由、っぽい雰囲気です。多分。
www.247tickets.com
東京ワンピースタワー x イマーシブシアター
onepiecetower.tokyo
はい、一気に身近になりましたね。これは2018年12月にDAZZLEという演劇集団が「東京ワンピースタワー」と組んで開催したもののようです。
どうやら日本ではDAZZLEがイマーシブシアターに関しては一番有名な団体のようです。
speakeasyENCHANTED(今回行ったやつ)
passmarket.yahoo.co.jp
はい、これに行ってきました。演目自体は3時間ぐらいで5,300円。ワンドリンクがついてます。もともとクラファンで始まってたやつみたいですね。
camp-fire.jp
感想
前提として
・観客は現在から魔法で過去に行く ・過去に行っている間はしゃべることができない ・「事件が起こる」ということだけが伝えられているが、何が起こるかは不明 ・謎を解明するのが観客の目的
といった感じです。
惜しかったところ
最初の「過去に行く」という時点で設定を自分に言い聞かせる必要があるんですけど、それ以外の要素もかなり複雑だったために自分をその世界観に適応させることが難しかったです。
「魔法」っていう非現実な物がある時点で「現実世界」と「魔法」をどうやって折り合いをつけているのかが捉えづらかったです。その世界の時代背景とか、善悪の基準とか、そういったものがわからないと「あの人は普通こう思うよね」みたいなことも察せないのがもどかしく感じました。事前説明とかじゃなくてキービジュアルで分からせるとかそういうことできないかなーと思ってました。
あとは謎が多すぎて、そして最後まで演目を見終わったあとにも「結局なんだったんだろうか、、?」という感じの読後感になっているのも辛いところです。
例えば「リアル脱出ゲーム」は物語としてストーリーテラーがおり、彼が演目の終了時にすべての謎を解説してくれるので「スッキリした状態」で帰ることができます。
一方で今回の演目の場合、自分がどこまで解き明かしたのかわからない上、解き明かしたと思っていることが「本当の真実なのか」もわからないモヤモヤのなか帰路につくことになります。何度も演目に参加して解明して欲しい!という主催側の気持ちもわかるんですけど、それにしても50-70%ぐらいまでは1回目の演目でスッキリわかるようにして欲しいところです。さもないと「分からなすぎて」もう一回来たいとさえ思えないのではと。今からでも演者の背景も込みで全部の真相が書かれた書籍とか知りたい感じがある。
よかったところ
しかし、色んな人についていって「同時進行で物語が展開している」という感覚は初めての経験で面白かったです。リアルタイムでその場で起こっていることのように没入できたように思います。座席とステージといった距離もなく、本当に目の前で演技をしている様子を移動しながら見れるというのも新鮮ですね。
こういう体験が出来るのはこのジャンルだけだと思いますし、もろもろ調整が入ってもっと面白い演目になることは間違いなさそうです。いままさに進化している最中のジャンルという感じ。DAZZLEの方はかなり場数踏んでるみたいですし、そのうちそっちの演目にも行ってみたいです。
全然関係ないけど、改めてリアル脱出ゲームの「エンタメとして完成している感」を再確認できた。アレほんとすごいっすね。